気が付けばすでに大会から一か月以上が経ち、気持ちのいい秋風が吹き渡るころとなりました。工房の溶接室に入り込む隙間風も日に日に冷たくなってきており、秋たけなわを実感いたします。
11月上旬までにベンチ清掃終了、そして定盤上の簡易エンジン台で「新たなコンポーネントを追加した新しいパワートレインレイアウト」での始動を目標に作業しております、エンジン班のうえだです。ここ数回Slackで「次はうえださんの番ですよろしくおねがいします」とリマインダを貰っては忘れ、数日後に催促されて慌てて何か一段落分の文章をこしらえては次の人にまわすという、特にこれといったコンテンツの無い文章を書いておりましたが、さすがにパワートレインリーダーとしてそろそろ何か有意義なものを書くべきでは?と思ってきたので、今回はエンジン班の動向をチョットだけ紹介しようと思います。
すでにご存じかもしれませんが、我々が今年度から再び使用し始めているスズキP506並列二気筒エンジン+電子制御CVTは純正で最高出力39kw(53PS)/7,000rpm、最大トルク58N・m(5.9kgf・m)/4,750rpmという性能に(実車のカタログ値では)なっております。が、しかし実際にマシンに載せるとシャシダイでは40PS台が遠く感じるような悲しいパワーカーブが出てきます。そこで同じくP506エンジン(当時のレギュレーションの排気量上限が今より低く、ボアダウンしていたもの)を使用していた過去のチームではターボチャージャーを用いて加給することでパワーアップを図っていました。当時の開発の経験・ノウハウがあり、それを知っているOBともつながっているという点を踏まえ、今のチームでもう一度このエンジンを加給してパワーアップに挑戦しようじゃないか、という話になっている(している)わけなのです。現行のレギュレーションではボアダウンの必要がなかったり、スロットル位置の順番が変わっていたりなどまったく同じ条件ではないので、この条件ではどんな開発になるのかわくわくしています。
旧チーム最後のVツイン時代まで使われていたエンジンベンチですが、ダイナモをつなぐペラシャが壊れて以来放置されており、私が入部したころにはもうそれはそれは「産業遺構」の4文字以外表しようのない有様でした。今までベンチに手をつける余裕はなかったですが9月後半からようやく復活へ進み始め、現在燃料ライン、冷却ライン、Vツインエンジンのハーネスの残骸の摘出を終え、またメモリーエンコーダ及びセンサー類の発掘も終わった状態まで来ました。
同時に溶接室の定盤の上で予備エンジンにターボをつけて回してみようと進めております。最終的には定盤上で始動を確認し、同時期にベンチ室の清掃を終えたところで一気に移植してベンチでかけるというのが狙いです(もちろんアブナイので定盤上では全開には回さないです!)
また、パワートレインが複雑になるにつれていろいろなパラメータの可視化を進めるべく、電装班と協力しております。
ベンチ復活と、スカイウェイブのターボ化。おそらく来年度大会に出れない私が貢献できる開発はこの二つがメインになると思います。次回、完成した状態で各種報告ができたらいいなと思っております。ご期待ください。