3/14 春

こんばんは。新3年の前田です。
前回の日記から10日、あっという間に時間は過ぎるものですね。

先週の土曜日は東京大学の合格発表でした。銀杏並木で合格者の掲示を見学していましたが、この中に未来のUTFFメンバーがいるのではないかと思うと今からとても楽しみです。

新歓の時期になると、いつも頭を悩ませるのが人数不足です。UTFFが発足したのは2002年。当時は学部3・4年生の機械系の学生が中心でしたが、人数は今の3〜4倍、総勢40人ほどいたといいます。2009年の優勝後、人数はみるみる減少していき、最終的には活動の継続が困難になるレベルにまで人がいなくなってしまいました。私がUTFFに入った2年前がまさしくそんな状況だったわけですが、その原因は一体何だったのだろうかと、時折考えることがあります。

2016年大会のレビューで、チームOBの方が書いた記事が話題になりました。その中で、「優勝チームがその後低迷する話」というコラムがあり、それが特に印象に残っています。かつて優勝を経験した国内7チームが、その後軒並み下位集団まで転落するという内容です。記事にもあるように、その原因ははっきり指摘することはできませんが、学生フォーミュラという競技の特殊性にその原因の一端があるのではないかと私は考えています。

チームを立ち上げてまず最初に行うことは、車両コンセプトの策定です。とりわけ、今年のUTFFのように0からコンセプトの策定を行うと、その中にいるメンバーというのは自分の思い描く理想の車両を自由に語ることができます。そして自由に話し合った結果として合意した車両コンセプトの実現に向けて、メンバーそれぞれがベクトルを合わせて車両を作り上げていきます。しかし、自動車という複雑なシステムを学生の手である一定の水準まで完成させるには、1年という期間は短過ぎます。最初に話あったコンセプトを完璧に達成した車両を作り上げるには、最低でも3年から4年という歳月が必要になります。しかし、学生もそれと同じようなスパンで入れ替わって行くので、先輩が考えた車両コンセプトを、その策定段階にはいなかった新入メンバーがある種引き継ぐ形にどうしてもなってしまいます。

新入メンバーとしては、自分の手で自動車が作れるという期待感をもって学生フォーミュラに参加したはずなのに、先輩が考えた車両コンセプトという大きな制約をある程度受け入れた上で活動することになってしまうので、その時点でモチベーションを維持するのが大変になってしまいます。しかし、立ち上げからまだ間もない時期というのは、それを超越する大きな原動力があります。それは「大会で優勝する」という目標です。やはり全国規模の大会で優勝するというのはとても価値のあることですし、新入メンバーが制約を受け入れて、「自分がチームを優勝に導いてやるんだ」と、活動に対するモチベーションをうまく変換できれば、チームの運営もうまく回るように思います。

しかし、いざその優勝といういわば至上命題を達成すると、優勝以上に、自分の作りたい車を作るという思いが相対的に強くなっていきます。そしてその時にまた新たな車両コンセプトを決めるわけですが、チーム立ち上げ時と決定的に違うのは、優勝チームであるという意識が働くことです。新たな車両コンセプトで迎える最初の年というのは、前述の通り完成度が高くないので、どうしても成績は下がります。優勝をすでに経験してしまっているチームが、そうした状況でモチベーションを維持するというのは、やはり困難なのではないかと思います。立ち上げからまもない時期というのはアンダードッグメンタリティーみたいなものがありますが、優勝後のチームにはそういった意識が芽生えにくいというのが私の見解です。

去年の新歓の時は「人が来ないのは自動車人気の低下が原因だろう」と、思考放棄していましたが、1年経ってみて、そんな簡単な話ではないことに気づいています。事実、今でも自動車好きの学生はいっぱいいます。そうした学生にいかに学生フォーミュラの魅力を発信し、チームとしてのビジョンを共有し、モチベーションを維持してもらうかは、今後もずっと考えて行く必要がある課題なのではないでしょうか。

今年の新歓は去年の反省を生かして、もっと上手にやりたいものです。UTFFがもっと賑やかになるといいですね。以上、前田の戯言でした。

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